令和5年度第1回研修会(車いすバスケットボール体験)を開催しました。

ボールを2つ使ったパス練習
ゲームの一コマ

 5月13日(土)通常総会終了後会場を移して、午後1時から3時まで茨城県立医療大学体育館で「車いすバスケットボールの体験」と題して同大学准教授の橘 香織先生に指導していただきました。橘先生は日本パラスポーツ協会認定スポーツコーチであり、元女子車いすバスケットボール日本代表ヘッドコーチの経験もあります。また、障害科学の博士号を持ち、理学療法士であり、車いすバスケットボールに関する論文や学会発表等多数おありで、まさに理論と実践を兼ね備えたこの分野の第一人者です。
 さて、参加者は総会時に比べて半分になってしまいましたが、各自にあった車いすを選ぶと3グループに分かれてすぐに始まりました。いきなりのゲーム、しかし開始して5分立ってもどのチームも1本もゴールが決まりません。集まると攻めや守りでどこが良かったか、どうすれば点が入るかなどチーム毎に話し合って発表します。「それ言っちゃたらバレバレや。秘密!、ひみつ!」など笑い声が飛び交っていました。高いゴールは難しい、なら低いゴールはということでツインバスケットボールのゴールの練習も。そのような練習をした後、低いゴールは決められた円外からシュートする(守りの人は入ってはいけない)ルールで再びゲームが始まりました。
 中にはなれない動きのためか疲労困憊で途中リタイアする指導員も出ましたが、あっという間の楽しい、しかし色々と考えさせられ、今後のヒントを多くいただいた研修会でした。
 橘 先生には総会時の議長や研修会の講師をお引き受けいただき本当にありがとうございました。心より御礼申し上げます。
 研修会を受講された方々から感想をいただきましたので掲載させていただきます。投稿いただいた皆様にも厚く御礼を申し上げます。

低いゴールも使ったゲームの一コマ

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
北條淳子(笠間市)
 私が障がい者スポーツ指導員の資格を取得して3年になる。コロナ渦の中だったこともあり、何の活動もしてこなかった。今回は車いすバスケットボール体験ができることを知り、思い切って参加した。
 何もかもが初めてで、スポーツ仕様の車いすに触るのも初めてだった。恐る恐る乗った車いすが思っていたよりも、ずっと軽くて乗りやすいと感じた。だが、乗っているうちに自分の思い通りに操作することは難しいことが分かった。ボールとゴールの距離感がつかめず、シュートしても届かない。先生が車いすを操作しながら、ボールを拾うコツを教えて下さった。不器用なのでなかなか上手くいかない。もどかしく思った。車いすを走らせながらパスを出し、ゴールまで行くだけで一苦労だ。
 そして初めて会った人たちとチームを組んだ。最初にやってみたときはぎこちなく、どのチームもシュートを決めることはできなかった。どんなところがいけなかったのか、どうすればいいのか、チームで話し合った。パスの練習では声を掛け合い、シュートを決めると自然と拍手をしていた。練習をしていくうちに、段々とチーム間の距離が近づいていくのを感じることができた。
 車いすバスケットボールはチームでプレイする。初めて会った人たちともたった2時間で仲間になれる。年齢や性別、障がいがあってもなくても、車いすを使うことでおなじ条件でできるスポーツなのだと思った。
 私は福祉の仕事についてまだ10年である。しかも高齢者施設でしか従事した経験がない。私は障がいのある方と接する機会がないため、スポーツ指導員としてどのように接してよいのかわからなかった。経験がないので自信がない。しかし、今回参加したことで、私が「障がい」を特別なことと考えていたことに気づいた。そしてパラスポーツは障がいのあるなしに関係なく、私自身も一緒にスポーツを楽しめばいいのだと思うことができた。今度はボッチャもやってみたい。卓球バレーにも挑戦してみようと思った。今回の研修に参加して、新しい繋がりもできた。
 最後に指導して下さった橘先生、今回参加した他の皆さん、楽しい時間をありがとうございました。またお会いできるのを楽しみにしております。

代々城泰彦(県央ブロック)
 今回の研修会では、橘香織講師(茨城県立医療大学准教授)による「車いすバスケットボールの体験」に参加させて頂きました。
 車いすに乗りながらボールを扱うのは、思ったよりも難しかったですが、車いすの操作にも慣れてくると、徐々にボールの扱い方も上達しました。また、チームメイトと協力してプレイすることで、新たな仲間を作ることができたのも良かったです。そして、橘講師がとても優しく、わかりやすく説明してくれたおかげで、初めてのスポーツでも楽しめることができました。
 障がい者スポーツは、身体能力の向上や、障がい者同士の交流など、多くの良い影響があり、さらに、健常者も参加することができるため、障がい者と健常者が共にプレイすることで、バリアフリー社会の実現や、相互理解の促進にもつながると言えます。 今回の研修で得た学びを今後の活動に活かして、橘講師のような、初めての方にも楽しんでもらえる様な障がい者スポーツ指導員を目指していきたいと思います。

長谷川滉人(小美玉市社会福祉協議会)
 今回の研修会を通じて、車イスバスケの魅力、指導者としての伝え方を学ぶことができました。自身としてもバスケットを経験してきたのですがパラスポーツ指導員として関わるとまた違った気づくきがありなど、非常に得るものが多い研修会でした。
 研修会で印象に残っているのは、講師の先生がおっしゃった「ゴールが高くて楽しめない障がいの方もいらっしゃる場合はその方も楽しめるようにリングを低くすればいいし、皆んなが楽しめるようにすることが大事」という言葉です。
 研修で講師の方や他の参加者からもらったアドバイスを意識し、指導員として研鑽に取り組んでいきたいと考えています。

雨宮麻里子(つくば市)
 この度は研修会に参加して、とても有意義な時間を過ごすことができました。私は指導員の資格を取得してから11年経過しますが、仕事や家庭の事情もあり、研修には片手で数えるほどしか参加したことがありませんでした。
 今回の研修では指導員として、指導するうえで抑えておくと良いポイントを明確に学ぶことができました。
 一つ目は、指導員としてこれができるとかっこいい、というポイントを抑えておくことです。専門競技でなくても、私たち指導員は人前に立つ時点で周りの人からは先生のような立場であるので、最低限のテクニックは身につけておく必要があると思います。
 二つ目は、現場で指導を受ける人たちのレベルによってはどのような進行をすべきか、柔軟に対応できるように準備をすることです。
 今回は車いすバスケットボールを体験しましたが、初めて取り組むと、シュート場面ではリングにボールが届かず、得点もままならなかったのですが、受講者の意見を取り入れながら、得点に繋げるために必要な練習を行ったり、実力に応じてルールを決めたことにより得点が生まれる機会が増えました。
 私個人としては、まずは説明よりも実際にやってみて楽しいという気持ちを感じることができ、その後は少しずつテクニックを身につけてゲームとして試合を成立させることができるようにしっかりとステップを踏みながら練習ができたことが、受講者として車いすバスケットボールを楽しい気持ちでやり続けることができました。
 私も橘先生のように、競技の楽しさと技術を受講者に伝えることができて、今後の障がい者スポーツの普及に貢献できるような人材になりたいと強く思いました。この度は誠にありがとうございました。

Follow me!