特別支援学校卒業後のスポーツ活動の受け皿としてのサークル「NEVER GIVE UP」の紹介
障がいのある生徒が特別支援学校を卒業した後、運動やスポーツをする場や機会がない、少ないというのは、茨城県に限らず全国的な傾向です。その課題に正面から向き合ってサークルを作ったのが、今回ご紹介させていただく「NEVER GIVE UP」サークルです。同じ課題を有する方々の参考になるのではないかと考え、サークル結成の中心になった代表の渡久地由美さんにお願いして、サークル結成の経緯や活動内容など特別に寄稿していただきました。
今回の「NEVER GIVE UP」サークルの活動は、障がいのある方々あるいはその保護者と障がい者スポーツ指導員が連携して活動する例に当たり、今後、本県においてこの形式の活動を積極的に進めていくことが期待されます。本稿について皆様のご意見をお待ちしています。
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「NEVER GIVE UP」の始まりは、子供たちが水戸特別支援学校の高等部2年の時に、『ボッチャ甲子園』に出場し、結果は1回戦敗退でしたが、卒業してもボッチャをやりたい!!と思ったのがきっかけです。
子どもたちの思いを知った数人の保護者の方々に協力していただき、ボッチャに参加できるところを探してみました。近くでなかなか見つからず半ば諦めかけていたのですが、それならボッチャができる場所を借りて、みんなで楽しくボッチャやったらどう!という意見があり、その提案にみんなが賛同しました。
ないなら作っちゃえばと安易な考えで、「NEVER GIVE UP」の第一歩がスタートしました。
まずは場所探しからです。水戸特別支援学校の子どもたちは車椅子利用者が多く、トイレや駐車場、活動スペースがバリアフリーで利用しやすいか?ということがとても重要です。学校から近いこともあり、茨城町総合福祉センターゆうゆう館に実際に足を運んで施設の方に話を聞いたり、利用しやすいかどうか検討しました。その結果車椅子での利用に問題はなく、身障手帳を持っている人の場合は利用料免除で利用できることもあり、活動場所が決定!!
次にボッチャのルールなど、保護者の私たちがまったく知らないこと・・・。どうしたらいいんだろう・・・。保護者の中に以前にボッチャ体験会に参加された方がおり、その人が障害者スポーツ指導員の方を紹介してくれました。何も分からない私たちのところへ、その方が指導しに来てくれました。そしてボッチャについて、ルール、コート、練習、ゲームのしかたなどを、初心者向けに分かりやすく説明しながら、楽しく教えていただきました。
2018年4月、こうして「NEVER GIVE UP」の活動がスタートしました。障害の有無、年齢、性別関係なく、みんなで楽しめるボッチャは素晴らしい!!
ゆうゆう館の練習は、不定期ですが月に2回 土曜日の9時~12時に活動しています。そのうちに、せっかく練習しているので大会に参加してみたら?という声があがり、ボッチャ甲子園のリベンジと思って、横浜や東京のボッチャ大会にも参加しました。結果よりも大会に参加することで、たくさんの方々との新しい出会いや、大会参加で練習のモチベーションが上がりました。
ゆうゆう館に来てくれる指導者の方が、ある日突然子どもたちに「卓球バレーやる?」 その言葉に、「やりたい!!」と素直な子どもたち。すぐに卓球バレーセットを準備してくれて、卓球バレー体験会スタート。すぐに卓球バレーに夢中になりました。ボッチャも卓球バレーも、家族みんなで一緒に楽しめて、私達にピッタリのスポーツです。保護者の方々も子どもたちと一緒になって練習しながら、少しずつルールも覚えていきました。ゆうゆう館の活動も、今ではボッチャと卓球バレーを交互に練習しています。
2019年10月8日に開催された「いきいき茨城ゆめ大会卓球バレー競技」(オープン競技)にも参加しました。結果は、いばラッキークラスで優勝!!
ゆうゆう館のメンバーも初めは数名でしたが、今は水戸特別支援学校の在学中の仲間も増えました。卒業してから友だちに会う機会も減ってしまうので、ゆうゆう館での練習は毎月とても楽しみです。これからも「NEVER GIVE UP」の活動をみんなで盛り上げて行きたいと思います。(NEVER GIVE UP代表 渡久地由美)